上には無限に広がる青い空

下には商売盛んな商人で賑わう大きな町

その町には、様々なひとがいる


さっきもいったように商人、加工屋、船員etcetc…

その中でもハンターと呼ばれる人は特に多い


ハンターとは、その町のギルドという所で依頼を受ける人たちだ

ギルドには様々な依頼がある

例えば、生活に欠かせないような薬があるとする
しかし、その材料は恐ろしく険しい道のりの先にあってとても自分達ではとうていいけない場所だ

そんな時にギルドに依頼をすれば後はハンター達がやってきて勝手に依頼を済ましてくれるわけ


そのほかにも動物の肉をとってきてくれだとか、旅団を護衛してくれだとか


しかし依頼はそれだけじゃない

依頼の大半は、人に危害をくわえるモンスターを討伐することだ

こっちの依頼は報酬の額は高いが危険度は格段に増してくる

だけどハンターっていうのは、強いモンスターを倒せば倒すほどハンターとしてのランクが
上がっていくから皆こぞってモンスター討伐依頼を受けるんだ

だけどそのモンスターを依頼を受注せずに討伐していいってわけじゃない

依頼者からギルドへ依頼をして、そこからハンターへ依頼の内容を説明

ハンターが依頼を受注した時初めてモンスターの討伐が許可されるんだ

そうしないとどんどんモンスターの数が減っていっていろんな人が困るからだ

ハンターにとってもこれが唯一の収入源だからモンスターがいなくなったらやめるしかない

そうならないようにギルドがモンスターの生態を管理して、その上で依頼を確認し、
討伐していいか悪いかをきめるんだ


討伐したモンスターはギルドに回収される

その際に、少しながらギルドからモンスターの身体の一部がもらえるんだ

ハンターはそれを加工屋にわたして、自分好みの装備を作る

それを繰り返してハンターとしての質を高めていくんだ


「……なあ、お前人の話聞いてる?」


「…………へあ?」


「へあ?じゃねえよ!話聞いとけよ!!」


やばいやばい、ぼーっとしてたみたいだ、気をつけよ


今俺がいる場所はさっきいってたギルドの中

この中で依頼の発注と受注が出来るようになってるんだ

その他にも、バーになってたり、普通に食事をとれる場所でもある

いつの日も賑わいがあるのもここの特徴だ


「まったく…で、先日の相手はどうだったんだ?」


「あー…あれか、いやー落とし穴にはめたところまではよかったんだが…」


俺の目の前にいる酒をなみなみ注がれたジョッキを持った男性ハンター

名前はシ…シ…シ……シュン…?うんシュンだ
けして忘れていたわけじゃないからな

白がかかった髪に褐色の肌が印象的だ

俺とは新米のころからの付き合いなんだ


「で、うまく頭に当たらず抜け出したリオレイアにぶつかって」


「うん、仕事熱心なアイルー達に運ばれちゃいました」


「アホ」


…リオレイア

砂漠や森林などに生息する大型の飛竜の事だ

レイアは雌であり、雄であるリオレウスと同じ場所にいることが多い

飛竜とあるが、あまり空は飛行せず、地上を警戒している

一方レウスは大空を飛び回り、獲物を探す

非常に攻撃的で、これを狩れば一人前と言われるほどだ

まさに空と地上を二対で守ることから天地と呼ぶ奴もいる


「お前さあ、明日俺別の街に行くって言ったよな?一人でレイアも倒せないで
 大丈夫か?」


「ダイジョーブだって、そこらの採取依頼でも食うだけには困らないし…」


「そーいうことじゃねえ!!」


シュンは急に真顔になり、持っていたジョッキを勢いよくテーブルに叩きつけた

注がれた酒がこぼれるが、シュンは気にする様子もなく言葉を続ける


「お前、俺と誓った事を忘れたのか!?」


「…………何だっけ?」


嘘だ

本当は覚えている、忘れるわけがない


「俺とお前、二人揃ってあのときのハンターみたいになろうって
 ガキのころ誓ったろうが!!」


そんな子供の頃の約束…と思うが、実はその約束をするきっかけになった事件がある

自分達がまだ幼かった頃、住んでいる街に災厄が降り注ごうとしていた


老山龍 ラオシャンロン

龍の中では最大の大きさをほこり、計り知れない攻撃力を持っている

巨大な四肢は数多くの街を蹂躙し、大きな口からは山を震わす咆哮を放つ

古くから存在し、多少の攻撃ではびくともせず、人々から恐れられていた


今では防衛拠点を配置したり、対巨龍の兵器が開発されたりと
ラオシャンロンの脅威は薄れつつある

しかしその頃の自分達の街ではまだ防衛拠点すらなく

いつくるかわからない脅威におびえていたんだ

そして、案の定それはきた


ろくな防衛拠点をもたない自分達の街はせめてもの抵抗としてギルドに依頼を申し込む

最初は街の人々も出発するハンター達を見て安心していた

数日後、傷ついた仲間のハンターを連れてボロボロのハンターが帰ってきた

街の人はそのハンターに殺到し、依頼の成功の有無を確かめた


ハンターは首を縦には振らなかった


生半可なハンターの攻撃はただいたずらに巨龍を怒らせ、時間を消耗するだけで、
街の最期は刻一刻と迫っていた

それを聞いたとき、街の人達は絶望し、落胆した


俺とシュンは、状況が分からず、大人達に「どおしたの?」と質問ばかりしていた

その度に大人達は俺達子供を抱きしめ

「大丈夫、大丈夫」

ただそれだけを繰り返していた








「オオオオオオォォォォォォォォォォォォォォッッッ!!」



途端、山を震えさせる咆哮が響いた


街の人々はついに終わりがきたと確信したが、何やら様子がおかしい

先程まで響いていた巨龍の足音はやみ、さっきの咆哮以来巨龍の声は聞こえない

混乱している人々をよけ、俺とシュンはある場所へと向かった


街のはずれ、生い茂った木々を抜けた所

そこには、街の子供達が作った秘密基地がある

そこは普段楽しそうな声で賑わっているが、今は静寂を保っている

そこら中に散らばる玩具や木の枝を掻き分け、丁度壁の辺り

生えている蔦や葉っぱをよけると、そこには子供一人分が通り抜けられるような穴が開いていた

俺が遊んでいた時に偶然見つけたものだ、これは俺とシュンしかしらない秘密


俺とシュンは四つん這いになって穴の中へと進んでいく

穴の中は暗く、所々ある出っ張りで俺達は擦り傷だらけになっていた


触れていた感触が草から砂へと変化して数分後、突然顔面に何かがぶつかった

俺はそれを慣れた手つきで手のひらで押すと、急に光が溢れ出した

ぶつかったのは木の板、俺が向こう側からこれないようにカモフラージュしたものだ


光に慣れた目に最初に写ったのは砂と山脈だった

シュンが出てくるのを手伝うと、すぐに辺りを見回した

必死でラオシャンロンを探すが、どの方向も山ばかりで龍なんてどこにもいない

耳をすましてみるも、砂の流れる音と鳥の鳴き声しか聞こえなかった


ひとしきり探して別の場所へ移動しようとすると、何故か服の袖が引っ張られた

見るとシュンが山の方を見ながら俺の袖を引っ張っている


「あ……あれ…」


シュンは震えながら山のある一角を指差した

つられて指差したほうを見るが、やはり山しかない

だがシュンはなおもその一角を指差し、声にならない声をあげている


俺がシュンの手を振り払おうとした瞬間


ズ………………!


シュンが指差していた山が、少し、ほんの少しだが横に動いた


「!!」


俺は全速力で走った

けつまづきそうになりながらも山へと向かう

シュンもそれを見て慌てて走るがなかなか追いつけない



山をぐるりと回り込むとシュンの言っていた意味がわかった

俺が見ていたのは山じゃなかったんだ


そこにいたのは、『山のように』大きい龍だったんだ


ごつごつした鱗

鋭く尖っている爪と牙

すべてを薙ぎ払ってきた尻尾

雄雄しくそびえたつ剛角


まぎれもなくそれはラオシャンロンだった


俺は腰がぬけて、その場に座り込んでしまった

後からきたシュンも同様に驚愕していた


ただ、そのラオシャンロンはその場に倒れたまま全く微動だにしない


「……そこで何をしている」


不意に、どこからか声がした

慌てて声の主を探すがどこにもいない

正体のわからない声に俺は少しあとずさった


「ここだ、ここ」


発せられた声は、上



シュンと一緒にラオシャンロンの背中のほうを見ると



「子供がここにいると、危ないぞ?」



楽しそうな笑顔が特徴的な、赤い鎧を身に纏った男がそこにいた


ラオシャンロンに深く刺さる、巨大な剣を手にして




それが、俺とシュンが目標、夢にしたハンターなんだ
















「忘れた…?お前忘れたって言うのか!?」



「つか約束したっけ?」



「くっ…、もういい!!」



シュンは酒が残っているジョッキをテーブルに残したままギルドを出て行ってしまった

周りはそれを気にしようともせずガヤガヤとしている



シュンの言いたい事もわかる

そりゃ俺だってあの時の興奮を忘れたことはない

一流のハンターになりたいといういっぱしの思いもある



だけど、あのハンターのようになれるとは限らないんだ

へたに大型の飛龍に喧嘩売って、返り討ちにあって死んでしまえば元も子もない

そうでなくともハンターをやっていれば、モンスターに重傷を負わされた人達にいやでも会う

そういう人はかならず自分の生活に支障が出ていた


しかしハンターになってしまった以上軽々しくやめるわけにはいかない

シュンの事もあるし、何よりハンターとしての夢を諦めきれないからだ




「…ま、これからの事は気長に考えるか」


シュンがテーブルに残したジョッキを手に取り酒を口に含む

口の中に酒特有の苦味と甘みが広がったが、ぬるくなったせいか美味いとは感じなかった


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